共催:三井不動産レジデンシャル 新建築社
応募要項 応募要項
2017年9月4日
FAQページを更新しました。
2017年8月21日
FAQページを更新しました。
2017年8月17日
図面データFAQページを更新しました。
2017年7月26日
FAQページを更新しました。
2017年7月11日
FAQページを更新しました。
2017年7月10日
図面データを更新しました。
2017年7月3日
FAQページを更新しました。
2017年6月20日
図面データFAQページを更新しました。
2017年6月16日
図面データを更新しました。
FAQページを更新しました。
2017年6月1日
ホームページ をオープンしました。
応募登録の受け付けを開始しました。
RSSRSS配信

ワーク ライフ インテグレーション
生きながら働き,働きながら生きる場所

第10回 三井住空間デザインコンペテーマ会議

左から,稲田信行氏,光井純氏,原田真宏氏,成瀬友梨.(撮影:新建築社写真部)

 

今回で第10回を迎える「三井住空間デザインコンペ」.時代のニーズにあった「デベロッパーと建築家・デザイナーとの新しい関係」を探るひとつの機会として2002年に始まりました. 2006年に開催された第4回からは最優秀案を実際に販売し,時代を先取る提案と,実際につくり上げるリアリティが支持を得てきました.第10回の開催に先立ち,今回の住戸に実際に住まう方はどんな働き方,暮らし方をしているのかなど,審査委員の方々に話し合っていただきました.(編)

 

さまざまな施設と接続する大規模集合住宅

──まず開発のご担当者から簡単に今回の課題建物の概要をご説明いただきます.

三井不動産レジデンシャル開発担当者  今回の課題建物は,みなとみらい線馬車道駅直結の,北側はみなとみらい21地区,南側は関内地区という新旧横浜の結節点にあたる場所に位置しています.商業施設と文化施設の入る低層部と,1,100戸超の分譲住宅とホテルを据えた高層タワー棟からなる複合施設です.また,北仲通北地区の再開発計画のひとつにあたり,この再開発エリアには,大規模なホテル,住宅,商業施設が課題建物の他にも計画されています.さらに,2020年6月には横浜市の新市庁舎が北仲通南地区に移転予定であり,行政と商業,文化,住宅といったさまざまな用途が集積したエリアとなっていきます.
このエリアは元もと外国人居留地として栄えた場所で,外装に煉瓦を配した建物が多く残っているのも特徴です.また,日本の貿易の拠点でもあり,特に,生糸輸出のために富岡製糸場から運ばれた生糸の品質検査や貯蔵を行う倉庫群が多くあり,課題建物の低層部でも歴史建物を保存・復元を行います.これらは横浜市指定有形文化財であり,内部は文化施設として活用する計画としています.なお,高層タワー棟は,高さ緩和により,この再開発地区でいちばん高い約200mの建築物となっています.
住宅の共用施設として,1階にビックテーブルで作業ができるラウンジを,5階にはパーティールームや,多目的に使える集会室,スタディルームとしてオープンスペースと個別のブースのスペースを用意し,それぞれのスタイルで作業ができる場所を設けています.

 

──ありがとうございます.今回はこの課題建物で,働き方が変化してきている昨今,働く拠点のひとつとしての住まいはどうあるべきか考えていきたいと思います.

原田  これまで横浜の集合住宅というと,東京に職場があって横浜から出て行ってしまう人たちのための住居となる場合が多かった.つまり,昼間はがらんどうになってしまっているので,日中に人が誰もいない集合住宅はその街にとって有益なのだろうかという思いがありました.住む縁と働く縁が重なった土地は魅力が出ますから,職縁みたいなものがこの土地にちゃんと組み込まれているような状態ができれば,その集合住宅はすごくよくなると思います.課題建物では1,000戸以上の縁,人口で言えば4,000人くらいの縁ができるのだから,高層タワーだとしても工夫次第で,もっと街と繋がって,この集合住宅自体が街のブランドを上げる存在になれると思います.
また,住んでいる場所で働くということは,ずっとそこにいるので自ずとその地域との関係性は深まりますが,それだけではなくもう少し外部との関係を保ちながら働ければよいと思います.もちろん住戸の中だけで働く場所を用意するのもよいし,北仲の他のエリアに出て行って,そこで仕事をして,ランチは自分の住戸へ食べに戻る,みたいな暮らし方でもよいでしょう.完全に閉じこもって働くというよりは,少しずつ街に溶け出すような働き方ができる想定があればよいなと思います.
光井  マンション単体だと足元にはエントランスロビーぐらいしかないので,住人はあまり用事がありませんからなかなか下に降りていきません.しかし,今回の課題建物はミクストユースで低層部にさまざま施設が入っていますから,買い物をしたり,コーヒーショップで休憩したり,海を眺めたり……いろいろ活動が可能になりますよね.建物がミクストユースで,これだけの規模の再開発だからこそ持てるいろいろな共用施設があり,さらに,街全体が歩き回って楽しめる場所になります.ですから,単体の80m2の住戸だけでデザインするのではなく,周りにこれだけのものがあるからこそ生まれてくる住戸像をぜひ語ってほしいと思います.
稲田  数あるベイエリアの中でも,横浜はゼロからつくり出した場所ではなく,歴史・伝統の延長線上で開発された場所ですから,単なるタワーマンションとは異なり,周辺にちょっと散歩がしたくなるような自然環境も含めた住環境が整っています.さらに,冒頭でご説明したように課題建物の共用施設のスタディルームや低層部の商業施設のカフェに加え,周辺にはコワーキングスペースや印刷サポート店,レンタル会議室なども多数あり,視点を広げると働く場所や働き方のスタイルの選択肢はいくつも考えられます.そういうところにまで想像力を働かせながら,ひとつの住戸ユニットをデザインしていただきたいです.

 

外部の人が入ってきても心地よい家

──働きながら住まうことを考えると,周辺施設まで含めた新たな働く場所やスタイルの可能性が見えてきました.では,住まいの方にはどのような変化が考えられるでしょうか.

成瀬  今回の対象住戸はかなりハイエンドで,住まわれる方としては夫婦共働きでバリバリ仕事をされているようなイメージができますよね.一方で,もうひとつイメージしたいのが普段の生活です.家事や子育てがあり,親の介護があり,ゆくゆくは自分が歳をとってから,どんな生活をしたいか,明るい未来が描けるような住戸が考えられるとよいと思います.
家事や子育てをしながら働くには,どうしてもベビーシッターや家事代行などの外部サービスを使いたいタイミングが出てきます.これは,介護の在宅サービスでも同じだと思います.ですが,いざ外部サービスを受けようという時に,意外と家が受け入れにくいかたちである場合が多いのです.つまり,他人が家に入る際に,ここまでは他人に見せてもよいがここからは入らせないという区分けがやりやすい家とそうでない家があり,圧倒的にそうでない家が多いように感じます.ハイエンドな住戸であれば,経済的に余裕のある方が住まわれますから,特に外部サービスを活用する機会は多いのではないでしょうか.そんな時に家族だけが使うのに適したすべてが溶け合ったようなプランは実は現実的ではありません.自分が効率よく生活できるよう,外部サービスをうまく取り入れられるプランが,これまで考えられてこなかっただけに,提案のしがいがあるのではないかと思います.
原田  高層タワーマンションなどの集合住宅の宿命と言えるかもしれませんが,従来,明るく眺望のよいバルコニー側をリビングなどの主な居室として,クローズドな寝室や浴室などを廊下側に配置するプランが基本でした.これまでは,外部の人が家の中に入ってくることを想定していなかったので,プライベートな空間が共用部側にあっても何の問題もなかったけれど,これから外部サービスを利用するようになると,外部の人がいちばん内側のプライベートな部分から滲み込んでくることになってしまう.そういうことを考えると,新しい型が必要になりますね.
光井  家事をしながら働くことを考えると,キッチンで働くということもあり得ますね.そうすると,たとえばキッチンには大きなテーブルが必要だったり,キッチンのあり方が変わってきそうです.また,最近では,オフィスにキッチンスペースがつくられることも多い.コーヒーを飲んだり,リラックスしながら仕事をすると,デスクの前で仕事をしている時よりも違った発想が出てきますから,それを捕まえようとしているのだと思います.
原田  オフィスが住宅へ寄ってきている感じがしますよね.
光井  おっしゃる通りだと思います.頭がリラックスできている状態をどうやってつくるか,みんな悩んでいるところですよね.そういう働き方を推奨していくと,企業は作業量で給料を支払うのではなく,おもしろいことを考えついたり,よい案を生み出したことに対して給料を支払うという方向へ次第に変化していくと思います.そうすると,新しい発想を生み出せる環境が切実に必要になってきます.

 

──少しずつ新しい働き方やそれによる住まいの変化が見えてきました.もう少し具体的な実際住まわれる人物像についてはいかがでしょうか.

稲田  弊社では昨年度,現在課題建物の販売のためにつくっているモデルルームのアレンジのため,さまざまな企業で働く方を招いて,サラリーマン目線での働き方の変化と住まいのあり方について,ワークショップを行いました.その中で既に大企業などで実施されている新しい働き方やいくつかの家族像と求められる空間が見えてきました.(※下記図版参照)
光井  こういった新しい働き方や実際の家族像を,応募者みなさんがゼロから考え出すのはかなりハードルが高いと思うので,ここで紹介するカテゴリーを出発点として,さらにそれぞれの応募者の方が働き方やライフスタイルを考えながら,新しいもの加えていってプランとして落とし込んでいただけるとよいと思います.

 

図版:新しい働き方と家族像の例.(※クリックで拡大)
上記の3ケースとその背景を参考に,実際に住戸に住まう人の働き方と暮らし方を想定して提案してください.

 

ケース01〜03の背景:

  • ビデオ通信やWeb会議などIT技術によるテレワークや在宅勤務など,企業のインフラや制度が整備されている.
  • ビデオ通信では,家の中が映ったり,家族の声が入ることを気にする声がある.
  • 在宅勤務では,オン/オフの意識の切り替え,家事や子どもの面倒を見ながらでも働ける,などのニーズがある.
  • 在宅勤務では,オフィスにいる社員とのコミュニケーション不足や,自分が他の社員に負担をかけているのではという悩みを持つ方もいる.
  • ベビーシッター,介護,家事代行などのサービスを住まいの中や近隣の施設で受けることが可能.
  • サービスを住まいの中で受ける際には,プライバシーやセキュリティなどを心配する声もある.

 

生きることと働くことをシームレスに繋げる

──本日は新しい働き方と住まいの関係をテーマにお話しいただきました.タイトルは仮に「ワーク ライフ インテグレーション」としていますが,この言葉にはどんな意味合いが込められているのでしょうか.

三井不動産レジデンシャル開発担当者  「ワーク ライフ インテグレーション」は,近年頻出している「ワーク ライフ バランス」の発想を進めた言葉です.「私生活か,仕事か」と完全に分断してしまうのではなく,人生とは本当はシームレスに繋がっているはずなので,それぞれが統合し,混じり合っているという意味でインテグレーションという言葉を用いています.
光井  言葉としてはすごくよいと思います.ただもう少し解説が必要かもしれません.
原田  確かに,今日の議論でも,オフィスと住宅の端境が分からなくなってきているのがおもしろいなと思いました.それぞれがグラデーショナルに繋がっていて,そのちょっと住宅よりくらいのところの提案というイメージで,「生きながら働く,働きながら生きる場所」というのもよいかもしれません.それが,もう一回住宅を再定義することに繋がるとおもしろいと思いました.
成瀬  「生きる」という言葉を選んでいるところがよいと思いました.楽しいライフだけでない,切実な成長や介護といったもの全部が入っていますから.

 

──では第10回は「ワーク ライフ インテグレーション 生きながら働き,働きながら生きる場所」をテーマとしましょう.