佳作

「300人のための集合住宅」

  • 伊藤潤
  • 祢冝洋平
  • 川端浩直
    (以上3名、立命館大学大学院)
佳作 「300人のための集合住宅」作品写真 ※作品クリックで拡大されます

現在の日本において、集合住宅はその密度に関わらずどれも同じように建てられる.その画一的な住戸間の関係は集合住宅内において、遠く離れている住戸間はもちろん隣人の間、家族間ですら、その関係は希薄であるのが現状である.そこで日本の現実的な集合住宅の密度において可能な、300人の気配を感じとれる集合住宅を提案する.

形態生成手法はまず集合住宅を層状に6分割する.その各層を様々な集合の数、機能、スケールで構成することで個から都市、または都市から個へと一繋がりにグラデーションを生む.具体的には集合の数は1、3、8…、300、機能は個室からLDK、縁側、多目的空間、公園、エントランス、そしてスケールも同様に変化していく.

このように構成された集合住宅では、各層を通して様々な人と向き合い、気配を感じることができる.一番奥の層は個の空間であり唯一、一人きりになれる空間である.個室から一歩出れば、住戸のLDKで家族と向きあう.LDKから一歩外へ出れば、3住戸共用の空間で隣家の人々と向きあう.次の層でさらに集合の数を増やし、そこでそのブロック内で会議をしたり本を読んだり、講演を聞く.次の層の公園ではさらに集合の数、空間のスケールを増やし多くの人が交流する.次の層は広場が広がり、街を歩く人々や住人のたまり場となり、都市に接続される.その逆の過程もまた起こりえる.こうして様々な人々と向き合えると同時に、その気配を感じ取れる集合住宅こそが300人のための集合住宅ではないかと考えた.

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