佳作

「1/2」

  • 小野裕美
  • 三浦寛滋
  • 円城寺香菜
  • 小林慧祐
  • 高田祐輝
    (以上5名、法政大学)
佳作 「1/2」作品写真 ※作品クリックで拡大されます

はじめに、パブリックスペースの意味を捉え直す.
まず、ある場所を共有する人数をx人とおくと、x人で共有する場所を、「1/xのパブリックスペース」と表すことができる.すると、今のパブリックスペースは、場所を共有する人の数が多く、1/xの分母の数が大きくなる.しかし、共有する人にとっては、自分がその場を共有しているという意識が薄い.また、場を共有する一人ひとりとの関係は希薄である.ここで、1/xの場を共有する人の数を減らす.分母xの数が小さくなる.すると今度は、一人ひとりとの関係は親密なものになる.
つまり、他者と親密な関係を築く最大限の密度は「2分の1」ではないだろうか.部屋と部屋の間に、他者と2人で持つ「2分の1」の共有空間を入れることで、住宅は自分だけのものから、他者と関わる場になる.他者との関係性の中で生活することは、都市生活だと言えるのではないか.

次に、現代の住宅の構成を捉え直す.
現代の住宅は、ユニットとユニットの「間」は存在しない.そこで、その「間」を作るため、住宅の構成に道を組み込む.ユニットを都市でつなぐ.

これらの解決策として、以下のようなことを考える.
この集合住宅は「あみだくじ」の仕組みによって成り立っている.まず、1本の長い棒状の空間(あみだの縦線)を並べ、その間にブリッジ(あみだの横線)を入れる.ここに住む人々は、あみだくじを辿るように、部屋とブリッジを縦横に移動しながら生活していく.ブリッジは異なる家族の部屋どうしを繋ぎ、そこは2分の1の共用空間となる.一つの住戸は約7つの部屋と6つの共有空間を持つことになり、平均して3~4家族と関わることになる.これにより、次々と部屋とブリッジを渡り歩きながら生活することで、一つの住宅にいながら様々な人と関わることができる.ドアを開けると隣の家族と共有の子供部屋が広がり、別のドアの向こうでは隣人と挨拶を交わす.そこでは、2人の関係性によって様々な用途が生まれるだろう.そのような2人の関係がブリッジ上のあちこちに風景として広がる.

最新情報

2008年2月1日
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2007年12月21日
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