最優秀賞「300人のランドスケープ」

  • 高池葉子(慶應義塾大学大学院)
  • 湯浅崇史(慶應義塾大学)
最優秀賞「300人のランドスケープ」写真 ※ クリックすると拡大されます

 300人が集まって住むということを、大きな一続きのランドスケープにしました.庭のような、廊下のような、縁側のような、幅5m・全長1.5kmのスロープが、GLから屋上までつながっていきます.自分の家まで、まちの中を散歩するように、ゆっくりのぼっていきます.はじめはお店があったり、幼稚園があったりして、上っていくと、住宅街になっていきます.そこには、洗濯物が干してあったり、ひなたぼっこをしている人がいたり、子どもが遊んでいたり、さまざまな人々のアクティビティが広がっています.一つの建物の中に、さまざまな都市の要素が広がっています.
 一つ一つの住戸は、外のスロープと呼応するかたちで、小さなレベル差によってゆるやかに仕切られたワンルームとなります.
 従来型の集合住宅の共用廊下は、エントランスから部屋をただ結ぶだけの機能的な役割しか果たしていません.そんな、階ごとにばらばらだった廊下や住戸をひとつなぎに帯状につないで、従来は小さなスペースになりがちな廊下を広くし、住戸と等価に扱います.その帯を上に巻いていくことによってコンパクトな大きさになり、どの住戸も均等に良好な環境となります.また、共用廊下が外側に配置されることによって庭やサンルームであったり、あるいは散歩道となります.
 300人の生活が、ずるずる一続きにつながって、一つの建物の表情をつくります.都市には、街路と建物の間に、はっきりとした境界がありますが、ここでは、都市と建物の境界、街路と住宅の境界があいまいになり、300人のランドスケープができ上がります.

審査員コメント

乾:
300人という人間の多さを1.5kmという長さに置き換えることで抽象化しているけれども、人の行動する時にその長さをどう感じるか、具体的に置き直しているところが非常に上手だという印象を受けました.
藤本:
これは1.5kmという都市的な長さを巻き上げてしまおうという大胆なところがとても魅力的ですが、上がっていくスロープがあまりに均質なのではないか、というところが若干気になりました.ただ、本人は多分それを意識した上で敢えてこうしているので、その辺も含めて力量がある方だなと思いました.

最新情報

2008年2月1日
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2007年12月21日
2007年11月9日
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2007年8月23日
応募登録受け付けを開始しました.
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