《共催》
三井不動産レジデンシャル 新建築社

《協賛》
IHI運搬機械アイカ工業アイホンイクス・アーク都市設計エーエー アンド サン大林組鹿島建設熊谷組CreativeOut®鴻池組五洋建設サンゲツ三和シヤッター工業清水建設西武建設大成建設竹中工務店
DGコミュニケーションズ東急建設東京ガス東芝エレベータTOTOトキワ産業トッパン・コスモ
日建ハウジングシステム日本フネンハウステック万協富士工業前田建設工業三井住友建設三井デザインテックLIXILリクルート住まいカンパニーYKK AP
応募要項 応募要項
2015年5月28日
2次審査結果発表審査講評を公開しました。
2015年3月16日
1次審査結果発表を公開しました。
2015年3月4日
応募登録・作品提出の受け付けを締め切りました。
2015年2月23日
公開2次審査観覧希望者募集を開始しました。
FAQを更新しました。
2015年2月19日
図面データ(C-C断面詳細図)を追加しました。
FAQを更新しました。
2015年2月19日
FAQを更新しました。
2015年2月17日
FAQを更新しました。
2015年2月13日
FAQを更新しました。
2015年2月10日
FAQを更新しました。
2015年2月3日
FAQを更新しました。
2015年1月27日
FAQを更新しました。
2015年1月23日
FAQを更新しました。
2015年1月9日
図面データを追加しました。
2014年11月14日
図面データを追加しました。
FAQを更新しました。
2014年11月6日
ホームページ をオープンしました。
応募登録の受け付けを開始しました。
RSSRSS配信

人のつながりを呼ぶ住まい
第9回 三井住空間デザインコンペテーマ会議

右から,古谷誠章氏,光井純氏,渡辺真理氏,井上徹氏. 本頁撮影:新建築社写真部

 

今回で第9回を迎える「三井住空間デザインコンペ」.時代のニーズにあった「デベロッパーと建築家・デザイナーとの新しい関係」を探るひとつの機会として2002年に始まりました.2006年に開催された第4回からは最優秀案を実際に建設の上,分譲.時代を先取る提案と,実際につくり上げるリアリティが支持を受けてきました.第9回の開催に先立ち,今回の敷地に住まうことにはどのような可能性があるのかなど,審査員の方々に話し合っていただきました.(編)

 

東京湾岸の新エリア,豊洲の可能性

ーーまず開発のご担当者から簡単に今回の課題建物の概要をご説明いただきます.

三井不動産レジデンシャル開発担当者  今回敷地となる豊洲は,東京湾岸の新しいエリアで,都心へのアクセスもよく自然にも近い場所として,人気を集めています.われわれが豊洲でマンション開発を始めたのは15年ほど前.当時はライフラインを整えるところから始めた街も,今では徐々に住環境が整えられ,坪単価もそれに伴い上昇してきました.その中でも今回の課題建物が建つ豊洲5丁目は駅や商業エリアにも近い一方,地区計画による70mの高さ制限のため,ゆったりとした街区形成がなされた落ち着いた場所です.
豊洲の物件はこれまで,将来的に子どもがほしいという30代前半の世帯に多く購入されてきました.ただ,開発から時間が経ち,購入層にも変化が生じてきています.まず住環境の充実に伴い,近隣の街からの住み替えニーズが高まっています.また開発初期に豊洲で物件を購入された方が,より具体的なライフスタイル像をもとに住み替えるケースも多いです.40代以上の方の購入も増えてきています.
今回,物件のコンセプトを「つながる住まい」と掲げました.ボリュームは周辺に圧迫感を与えないよう,ふたつに分け,少しずらした8の字型として構成しています.向かいには新しい病院ができ,1階にはそれと連動したミニクリニックモールに加え,保育施設や商業施設を集約し,公開空地を連続させて周囲と調和するような計画を考えています.また住民が必ず通過する2階に,ラウンジやパーティールームなどの共用部を設けています.それらは廊下に対しても閉ざすのではなくオープンにして,街角や辻のような出会いの場所として考えています.

ーーありがとうございます.今回はこの豊洲という場所で,どんな提案が可能かということを考えていきたいと思います.

渡辺  私は近隣の東雲キャナルコートCODAN(本誌0309他)の開発初期から関わっていたので,当時,豊洲から東雲までよく歩きました.その頃の無機質な街に比べると,これだけ人気の街になったことは驚きです.東雲も当時は何もない場所だったので,若いカップルに来てもらうしかないという方向で議論が進み,SOHOのように職住が近接した新しい家族のかたちを提案しました.今ではそこに子どもがたくさん生まれて,保育園も塾も満員という,予想をはるかに超える出来事が起きています.豊洲においても,「新しい」街における「新しい都市居住のあり方」への提案が見たいですね.ITも生活の一部になっているし,さまざまな社会や状況の変化を踏まえた上でどのようなことができるかということを生活の中に取り入れてほしいです.
光井  確かに,最初は若い人が冒険心で住むような場所だったのが,ららぽーとのような商業施設ができたり,徐々に住む環境が整ってきて,年配の人も住むようになってきています.昔は親の家(本家)のそばに若い夫婦が住む,という流れが主流でしたが,今はその逆も起きている.それぞれの人生を楽しみつつ,困った時は助け合うような,さばさばした新しい関係ができてきている感じがします.今後も発展が予想されるウォーターフロントの新エリアということもありますし,わくわくするような未来的な生活を描ければと思いますね.
古谷  豊洲は,開発によって生まれた街でありながら,それが段階的に進んできたことで,街の成熟と共に住人も成長し,結果として世代が交ざってきた.これは似通った世代のみが住まうニュータウンとは違うおもしろさだと思います.そうすると光井さんがおっしゃられたような,「近居スタイル」が発生する可能性も高いですよね.子の世帯に親が時々来て留守番してくれたり,またその逆もあり得ます.私の娘と孫がすぐ近くに住んでいるのですが,夕方や休日にはわが家が保育園化しています(笑).なので今,新しい住まいを考えるとしたら,プライバシーを確保するというよりは,親や友だち,子どもの友だちなどが出たり入ったり,訪ねたり招かれたり,そんな水平的な広がりが引き起こされるような住まいがよいのではないでしょうか.
井上  確かに親子の関係は昔と比べて大きく変化していますし,それらをどう住まいに反映させるのかという検討は重要になってくるでしょうね.
渡辺  前回の実施住戸パークホームズLaLa新三郷(完成レポート:本誌1410)では,近くにみさと団地という既存の大規模公団団地があり,そこからの住み替えも多いと聞いて,非常に可能性を感じました.マンション族というと,まったく縁のない場所にパラシュートで降下してくるようなイメージがありますが,すでに近所に知り合いや親族がいれば,新しいマンションにも訪れる人が増え,もう少し広がりを感じられるような住まいになるかもしれません.今回も住み替えのニーズがあるようですから,そういう人を取り込めるようなテーマもよいかもしれませんね.

 

開放的な住環境を生かす住まいとは

ーー豊洲は,都会的でありながら,既成の住宅地よりオープンな文化環境を築く可能性がありそうですね.

光井  海と空が広くて開放的なのもいいですよね.古い住宅地では皆が身を寄せ合うように住んでいますし,その近隣関係は何十年も前から形成されてきているので,そこで暮らすには近隣に合わせていく必要がある.それに比べると豊洲は新しい街なので,しがらみのない環境でやりたいことを自発的に実行できるコミュニティが育ちやすいのではないでしょうか.外国人や他の地域からの人も入りやすいでしょう.そんな場所で新しい住空間が現れたらおもしろいと思います.
古谷  確かに豊洲は都心に近いのに,水辺の近さ,空の広さといった開放感のあるスケールが特徴ですよね.ゆりかもめに乗っているだけで湾岸の景色を楽しめたりと,「オフ」の感覚が近場で得られるのがよい.かといって郊外のような車社会でもなく,歩いて回りたくなるような環境ができています.たとえばここに子育て世代が住めば,公園で知り合うようなことが日常的に起こりやすいでしょうし,遊びにいく計画もその延長上でたてやすいんじゃないでしょうか.それこそベビーカーを押したまま向かえるような気軽さがありますね.
井上  そうですね.豊洲は下町のフラットさとニュータウンの新しい価値観と両方のよさを併せ持っていると思います.街が徐々に便利になって,豊洲に住む主婦たちが「キャナリーゼ」と呼ばれたり,住民のプライドも育ち始めています.2011年の東日本大震災を経て,災害時の安全への意識も高まり,近居や日常的なコミュニティ形成の必要性もより強く意識されるようになりました.われわれとしては,ただ箱をつくるだけではなく,コミュニティをつくる活動を積極的に仕掛けています.たとえばMIFAとコラボレーションしたサッカー場の整備や,湾岸エリアを中心とした運動会の企画,夜にはパーティを企画して,ビジネスの出会いや地域の出会いの場としたり.これからも継続的に仕掛けを試みて,湾岸を盛り上げたいですね.2020年の東京オリンピックでもこのエリアは会場になるので,今後ユニバーサル化も進むでしょうし,それらが新しい都市を考える契機になるのではないでしょうか.
光井  今の若い世代には,アクティブに人との関わりを築こうとする人が出てきている印象があります.「シェア」という概念にも通じるのかもしれませんが,マンションの共用部も自分の家の一部として使い回したり,自分の趣味や子どもを通じて友だちの幅を広げたりと,いろんな場所に拠点をおきながら,ゆるやかで軽やかな関係を築きつつある人が増えているのではないでしょうか.マンションの廊下やボイド空間を通じて友だちの家が見えたりすることで,彼らの間に立体的なコミュニティが形成されていくようなことがあるとおもしろいと思います.

 

世代や家族を超えた自由なつながり

ーー豊洲ならでは,現代ならではのさまざまな可能性が提示されました.それでは今回の住み手はどのような世代を想定したらよいでしょうか.

井上  おそらくこの場所にはいろんな可能性があるので,ターゲットを決めない方がうまくいくのかもしれません.働き盛りの人にとっては職住近接の快適な暮らしができるだろうし,子どもも育てやすい.病院や商業施設が近いので,その親世代も暮らし得る.多世代が気に入った時に自由に住める街であり,そんな開放性・幅の広さが最大の特徴だと思います.マンションのコミュニティ活性化には多世代が住まうのがいちばんですから,ライフスタイルを規定しないマンションというのはわれわれの課題でもあります.そうした多世代型の新しいコミュニティをどうしたら展開できるかという,夢のある提案がほしいですね.

ーーでは多世代を前提として,どのようなテーマが考えられるでしょうか.

古谷  たとえば「世代やコミュニティが繋がる住まい」というのはどうでしょうか.「世代」というのは親子同士でも他人同士でもよいのですが,多世代間で自然に世話をしたり面倒をみてもらったりというイメージです.「世代」という言葉は「親子」でもよいと思ったのですが,ちょっと意味を狭めてしまう.「コミュニティ」というのはママ友のような繋がりに始まって,住棟以外のコミュニティが住居まで入り込んでくるようなイメージです.それによって家族が住戸の中で孤立するような状況が薄まるのではないかと思います.
渡辺  多様な意味の「つながり」を迎え入れるような住まいを問いかけたいですね.共用部のラウンジなど,住まいの外にも使える場所があるということや,すぐ隣が大きな病院だということなど,家の中ですべてが完結するというのではなくて,外部の条件も前提にすると広がりが出るかもしれません.
「コミュニティ」という言葉は,その中に親族や家族も含むのだということが少し分かりにくいので,「家族同士がつながる住まい」というのはどうですか?カップルからファミリーまで,幅広い層が繋がることができる場所ができるとよいと思います.
井上  「家族」というと,どうしても核家族のイメージが強く出てしまう気がしますね.
光井  「つながり」というキーワードは入れるとして,そこに「未来」を感じさせるスパイスをきかせたいですね.
古谷  住まい手の多様性を表せるといいでしょうね.たとえば「家を超えて人がつながる住まい」とか.
井上  「つながりを呼ぶ住まい」というのはどうでしょうか.
渡辺  「呼ぶ」という言葉はいいですね.新たに発生させる感じがあります.
古谷  では今までの議論を踏まえて「人のつながりを呼ぶ住まい」でどうでしょうか.

ーーでは第9回は「人のつながりを呼ぶ住まい」をテーマとしましょう.

 

パークホームズ豊洲 ザ レジデンス模型.