Top > 第1回最優秀賞モデルルーム
第1回住空間デザインコンペ
最優秀賞モデルルーム発表
パークマンション千鳥ヶ淵
(仮称・九段南2丁目計画)150-A-M5type
設計/廣田敬一
1969年大阪府生まれ/1985年に渡英/ウエストミンスター大学建築工学科を主席卒業後、AAスクールを経てクラウディオ・シルヴェストリン建築事務所/2000年西宮市にデザインユニットゲルニカを設立/2003年大阪市に移転、廣田デザイン事務所に改称 |
第1回 住空間デザインコンペ概要
第1回住空間デザインコンペ』は、昨年、時代のニーズにあった「デベロッパーと建築家・デザイナーとの新しい関係」を、また「新しい都心居住の可能性」を探るひとつの機会として、「パークマンション千鳥ヶ淵」(仮称・九段南2丁目計画)の住戸ユニットを対象に開催された。応募登録1,623件、応募作品416点の中から、青木淳、妹島和世、光井純、池谷邦昭の4氏による審査の結果、廣田敬一氏が最優秀賞を受賞した。廣田氏設計によるモデルルームは2003年4月下旬に完成し、一般公開では多くの来場者を集め、5月中旬より販売された。
Q&A: 設計者・廣田敬一氏に聞く
- Q1. 提案のコンセプトについて教えてください。
- A.都心での「快適な居住空間」には、一方的な空間の主張や装飾性、あるいは利便性や機能性ではなく、もっと本質的な空間のあり方を追求することが大切だと考えました。ですから、この空間は少ない線、少ない数、少ない色で構成され、空間の広がりやつながりを視覚的、体感的に感じられるようになっています。
不必要と思われるものを削ぎ落とし、ただ単純化するのではなく、そこに「ゆとり」や「間」を与えることを目的としたこの空間には、「何もなさ」と「静けさ」が存在します。これは空間そのものを贅沢に愉しむという住空間です。 - Q2. 住む人の職業や家族構成をどのように想定しましたか?
- A.想定しませんでした。計画をする段階で、対象となった住戸ユニットの物理的な条件や制約がある中で、どのようにしてコンセプトを表現する空間をつくるかを考えました。
- Q3. シンプルな空間構成だと思いますが、素材や照明をどのように考えましたか?
- A. 単純化された空間だからこそ素材が生きると考え、素材がもつ質感を大切にしました。
たとえば、床や造作家具のカリン材は色調が明るく表情豊かなため、均質な白い空間に温かみがでるように選びました。照明は落ち着いた雰囲気をだそうと控えめにしました。 - Q4. 今回のコンペに参加して、実際にモデルルームをつくった感想はいかがでしたか?
- A.モデルルームという商品としての空間なので最低限の制約はありましたが、コンペの提案から大きな変更は無く、想像していた以上に自由に設計をさせて頂きました。また設計だけではなく装飾にも関わることができて、コンセプトを空間全体で表現できたと思います。
今回のような実績や資格を問わない実施コンペは、参加する側にも主催する側にもメリットがあると思います。確かに最低限の知識や経験は必要ですが、「発想の自由」を考えると決してそれだけではないと思います。このようなコンペがこれからも増えればと思います。