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2016年3月1日
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新宿センタービル18階大成建設喫煙室

設計・施工 大成建設設計本部・大成建設新都心建築作業所
インタビュー:久保勝彦・林友斉(大成建設設計本部)
聞き手:佐藤英治(イーエスアソシエイツ)

新宿センタービル18階 大成建設喫煙室

壁沿いにカウンター,手前に竹炭袋を収納したベンチ,
正面に新宿の高層ビル街を一望する開口を見る.
(※クリックすると拡大されます)

久保
通気性カーペットと 空調吹き出し口.

通気性カーペットと
空調吹き出し口.

この喫煙室は私たち大成建設の本社が入っている新宿センタービルの18階にあります.5年ほど前に社内プロジェクトとして,もともと会議室だった部屋を改修して,この喫煙室を計画しました.弊社に打合せでいらっしゃるお客様と私たち社員が使用することが前提で,お客様もアクセスしやすい場所にあります.
ここで使っているシステムは床全面から空気を吹き出して天井で吸う「全面床吹き出し空調方式」で,たばこの煙もその気流で処理するものです.天井に吹き出し口が必要ないため,天井をすっきりできることや吹き出し口の位置にとらわれず,什器を自由にレイアウトできるといった利点があります.また,室内環境も床からの微風速の吹き出しで気流感を感じない快適性もあります.換気風量は,想定していた最大人員25名から決めています.
久保
イスに内蔵された 竹炭の袋と換気扇.

イスに内蔵された
竹炭の袋と換気扇.

ここは利用者の回転数をよくしたいと思っていたので,ベンチは少なめにして,立ちながらたばこを吸う形式のカウンターを壁にぐるりと回しています.照明は,このカウンターにアッパーライトを仕込んで間接光としました.天井に照明器具を付けるとヤニで汚れてしまうし,喫煙室としては照度が低いほうがくつろげますから,間接照明のほうがよいのです.また,ベンチには竹炭を仕込ませて,空気の浄化をしています.
佐藤
機能的にとてもよくできていると思います.面白いアイデアですよね.たばこの煙自体が熱を持っていて,上昇気流を発生するわけですから,上から吹き出すよりは,下から吹き出して上昇させるほうが理に適っています.また,室内の雰囲気も,カウンター形式ですから皆さん壁と向き合って吸うと思いますが,この壁の色も普段オフィスでは使われないカラフルなもので,よい色だと思います.気分転換できるのではないでしょうか?それから,一室空間ですが,雰囲気はふたつに分かれていますね.大きな開口があって新宿の高層街が見渡せる側と,壁で囲まれている側です.たばこを吸う人の心理によって,居場所を選ぶことができる自由度が出ています.今後,この部屋をプロトタイプにさまざまなところで展開していくとしたら,どういったことを考えていますか?
久保
ここでは喫煙室と前室と廊下の間にドアがあります.でも,前室の換気風量を調整することでドアがなくても廊下に煙りを出さないことができたら,空間としてより分けられることがなくなるので,面白いと思っています.吹き出し,吸い込み量の違いによって区画できるシステムです.今後そういうことができたら,分煙にもっと貢献していけるのではないかと思っています.

(2009年4月9日大成建設喫煙室にて 文責:新建築社編集部)

コンセプト図

大成建設が開発した全面床吹き出し空調
(T-ブリーズフロアシステム)のコンセプト図.

喫煙室の位置

喫煙室の位置(新宿センタービル18階平面).

平面図,天井伏図

平面(左) 開口のあるゾーンと壁・カウンターに囲まれたゾーンのふたつに分けられている.
天井伏(右) 喫煙室内は天井照明のない,すっきりとした天井面となっている.

室展開,ベンチ詳細,カウンター詳細

室展開(上),ベンチ詳細(左下),カウンター詳細(右下)

空調概念図

空調概念図

(※それぞれの図面はクリックすると拡大されます)
建築概要
作品名 新宿センタービル18階大成建設喫煙室
設計・施工 大成建設設計本部・大成建設新都心建築作業所
所在地 東京都新宿区西新宿1-25-1新宿センタービル
久保勝彦(くぼ・かつひこ)
1951年東京都生まれ/1975年早稲田大学理工学部建築学科卒業後,大成建設設計部/現在,同設計本部建築I群統括
林友斉(はやし・ともなり)
1965年東京都生まれ/1991年東京大学工学部建築学科卒業後,大成建設設計部/現在,設計本部シニアアーキテクト
林氏、久保氏、佐藤氏 写真

林友斉氏(左),久保勝彦氏(中央),佐藤英治氏(右).