最新情報

2016年11月1日
結果発表をアップしました.
2016年8月10日
プロポーザル部門1次審査結果発表をアップしました.
2016年7月1日
応募登録の受付を締め切りました.
2016年3月1日
SMOKERS' STYLE COMPETITION 2016のWebページをオープンいたしました.プロポーザル部門,作品例部門への応募登録の受付を開始します.
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作品例部門 審査経過

古谷誠章

今年は応募作品が8点となりましたので,審査委員で協議の上,優秀賞3点を受賞作品としました.それぞれの作品について講評します.
JPタワー名古屋はスモーキングルームがビルの付加価値と位置づけられ,空間の質が担保されています.いずれはたばこを吸わない人も立ち寄れる環境が目指されるとよいなと思います.オアーゼ芝浦は公共の道(街路)を挟んだ3つのブロックを総合的に再開発し,建物を利用する人も,一般の訪問者にとっても,心地よい公共空間がつくられています.3棟のうちの1棟でつくられた吹抜けに面した分煙エリアも,上下階でコミュニケーションができるなど,オープンスペースをうまく使っています.アウル東京支店は,執務スペースは事務室的ですが,木質パーティションに囲まれた会議スペースはリラックスしてたばこを吸いながらミーティングができる人が憩える場所です.

妹島和世

アウル東京支店に興味を持ちました.小さいスペースだからこそ思い切って,中心に喫煙スペースを持ってきて,垂れ壁と腰壁で周りと連続的な分煙スペースができ上がっています.それにより,全体のスペースが一体的になり,開口部へ繋がります.オアーゼ芝浦も公共の屋外空間とそれの横にあるパブリックなエントランス空間が連続的になるよう考えられています.空気を集めるけれど,視界的には切れていて,でもパンチングで少し見えていることで環境としては繋がっている.共存の仕方,分け方として優れていると思いました.JPタワー名古屋はペリメーター部を使った提案はいろいろありましたが,高いクオリティだと思います.

西沢大良

オアーゼ芝浦は3棟の建物の間の道路沿いにたばこが吸える場所があったり,吹き抜け脇にドアレスのスペース(喫煙所)があったり,あちこちに分煙空間がある野心的な試みです.アウル東京支店は単純なアイデアですが,ビルのオフィススペースにどのように分煙空間を配置できるかという,普遍的な問題に向き合っていてとてもよいかなと思います.JPタワー名古屋の女性用の分煙空間は,たばこを吸うこととは別の行為もできるようにしていけたら,面白い展開に繋がりそうです.

六鹿正治

とびっきり晴れやかな眺望で特別のおもてなしを受けているようなJPタワー名古屋の空間,視線や会話の水平垂直の交流をにぎやかに促すようなオアーゼ芝浦の吹抜け,そして何やら不思議そうなアウル東京支店の囲まれた空間が印象に残りました.分煙への意思の強さ,喫煙者・非喫煙者の共存の可能性の追求,くつろぎ空間そのものの気持ちよさなどを総合的に評価して選ばれた実施例ですが,それぞれの建物の条件に沿いながら,個性的な工夫が凝らされています.年を経るごとに徐々に分煙空間への理解が深まり,空間のクオリティも少しずつ磨かれているように感じられます.

佐藤英治

JPタワー名古屋は眺望が確保された場所を,女性も配慮しながらつくり込めているのが素晴らしいです.欲をいえばドアをなくしてほしかったですが,空気の流れもとてもうまくできていると思います.オアーゼ芝浦は視覚的な処理が上手で,しかも建物の内外に設けてあることが面白いと思いました.アウル東京支店はエアバランスを保つのは難しいように感じるので,テナントビルだと使いづらいかもしれませんが,ユニット化などの展開が期待できそうです.

岩井睦雄

アウル東京支店はたばこを吸う人も吸わない人もコラボレーションできる場所になっていると思います.普通パーティションはガラスや無機質な材料が使われますが,木のぬくもりがあるのはすごくよい感じがします.オアーゼ芝浦は,たばこを吸う人の場所を閉鎖的につくるのではなく,さまざまな人が自然と入って来れて,でもきちんと分煙的な仕組みもある.建物内外のパブリックスペースにごく自然に分煙空間が組み込まれ,ひとつの風景として見ることができるとてもよい事例だと思います.JPタワー名古屋の環境は素晴らしいです.特別な装置はないですが,煙の流れも計算できているので,快適な場所になっていると思います.作品例は,少しずつながらも分煙のあり様が進化していると感じます.ありがとうございます.

(2016年7月22日,日本たばこ産業にて 文責:『新建築』編集部)